相続に関する手続


相続手続の流れ

相続の手続には、主に以下のものがあります。手続は通常、下記1~5の順番で行います。

1.相続人の調査

誰が相続人であるかという調査は、相続手続の当事者を確定させるために大変重要です。

相続人の調査を行うにあたっては、はじめに依頼者の方から亡くなられた方(「被相続人」といいます)の相続関係を聴取します。

聴取した内容から、誰が相続人であるかを確定させるために、被相続人及び相続人全員の戸籍等を収集します。

戸籍等の収集は、依頼者の方が取得していただいても構いませんが、ご依頼いただければ、当事務所において取得することも可能です。

また、必要に応じて取得した戸籍等を基に、相続関係を図にした「法定相続情報一覧図」を作成します。

2.遺言の有無の調査

遺言が存在する場合には、遺言に記載された内容に従い、相続財産の帰属が決定されます。

もし、相続人全員による協議(「遺産分割協議」といいます)により、相続財産の分割・分配方法が決定された後に遺言のあることが判明した場合は、遺産分割協議の有効性が問題となる可能性があります。

よって、遺言の有無は遺産分割協議を行う前に把握しておく必要があります。

自筆証書遺言に関しては、被相続人のご自宅や貸金庫あるいは第三者によって保管されているかを探索します。

また、自筆証書遺言書保管制度により遺言書が法務局に保管されている場合がありますので、法務局に対し確認を行うことも検討します。

公正証書遺言に関しては、平成元年以降に作成された遺言の場合、公証役場に記録が残っていますので、被相続人が過去に遺言書を作成したか否かを照会することができます。

3.相続財産(遺産)の調査

相続人は被相続人の財産における一切の権利及び義務を取得します。

相続の対象となる財産には、土地・建物の不動産や預貯金といったプラスの財産だけではなく、借金や銀行ローンといったマイナスの財産すべてが含まれます。

不動産については、依頼者の方から聴取した内容に基づき、不動産の登記事項証明書等を取得して、不動産の正確な内容を確認します。

預貯金については、被相続人が取引していた金融機関の通帳を確認します。必要に応じて金融機関より「残高証明書」等の取引記録に関する書類を取得し、これらに基づき預貯金の有無や金額を確認します。

マイナスの財産については、被相続人に対する借入れの契約書、請求書あるいは領収書等の存在を確認します。また、通帳の記載から銀行ローン、カード会社の引落しあるいは消費者金融からの借入れ等がないかを確認します。

4.遺産分割協議書の作成

相続人及び相続財産が確定した後、相続人全員による遺産分割協議を行い、相続財産の分割・分配方法を決定します。

遺産分割協議が成立した場合、協議内容を記載した「遺産分割協議書」を作成します。協議書には相続人全員の署名及び実印を押印します。

5.相続財産の分割・分配手続

作成された遺産分割協議書に基づいて、不動産については名義変更(相続登記)を行います。

預貯金については、解約及び払戻し手続を行います。

 相続登記の申請の義務化について

  • 令和6年4月1日より、相続登記の申請が義務となりました。詳しくはこちら

相続放棄について

すでに申し上げたとおり、相続人は被相続人の財産における一切の権利及び義務を取得します。

プラスの財産は相続するが、マイナスの財産は相続しないということは認められません。

したがって、プラスの財産よりもマイナスの財産が極端に多い場合には、相続放棄という選択も検討する余地があります。

相続放棄を行うには、相続人が自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ相続放棄の申述(申し立て)を行わなければなりません。

相続放棄の手続を行える期間は大変短いため、迅速に行わなければならず、注意が必要です。

相続放棄は相続人全員で行う必要はありません。それぞれの相続人が各自で行うことができます。

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